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30世紀の森づくり
地球環境時代のシンボル
山田緑地の計画は、21世紀を間近にひかえた現代社会が直面している、地球環境問題の解決に対して貢献することを目的とした、明確な理念が背後にあります。かつて灰色のまちと称された北九州市は、官民一体となって公害を見事に克服してきました。その実績をふまえ、世界に、次代に向けて環境活動の環をひろげるために、北九州の自然の象徴として山田緑地をとらえ、それを地球環境時代のシンボルとして掲げたました。
照葉樹林の創出
山田緑地は、約半世紀にわたって人の手が加えられることがなかったため、九州地方本来の自然である照葉樹林に戻りつつある状態となっています。照葉樹林に戻りつつあるということは、今後さらに自然度が高まり、やがては世界的にも希少な緑を有することができるということです。 これらのことも踏まえ、北九州の自然を象徴する山田緑地の自然環境は、照葉樹林を代表とし、それを骨格とした多様な自然環境の維持創出を図るものです。
人と森を育む時間と思想
山田緑地は市街地と緑地の境界部分に位置し、人と自然の営みの接点にあるともいえる条件を備えています。 山田緑地の自然環境を照葉樹林に代表させ、その回復を図るためには、悠久の彼方にある未来に山田緑地をゆだねていかねばなりません。それは空間だけでなくその行為をもゆだねていくということです。それは思想や手法といった文化そのものを継承してゆくことであり、そのスタート時点である今、しっかりとした思想と公園づくりのコンセプトを確立し、持続的環境保全の仕組みが継承されてゆくようにしなくてはなりません。 自然を慈しみ継承してゆくという思想と、そのための永い貴重な時間こそが、この計画の骨格です。 その永い時間を、イメージとして抱けるようわかりやすく区切り、1000 年後の30世紀を目標としました。また、自然は人間が慎みを持って接しなければそして力を合わせていかなければ、維持することができないという自然への思想を、「つくる」という言葉に込め、「30世紀の森」づくりをテーマとします。 1000 年という時間は途方もなく永く、私たちの意識を超えるものです。人間が実感として把握できるのは100 年が限界であり、それ以上は意識の外にありま地球環境時代のシンボル照葉樹林の創出人と森を育む時間と思想す。しかし、その意識の外の時代へこの森づくりを伝えてゆかなければ本来の植生は戻ってきません。植生遷移のリズムは、1000 年のオーダーでとらえる必要があるということは、過去の例によっても示されています。1000 年先は人間にとって実感できない未来ですが、この時間的目標を無意味なものと解せず、北九州の精神文化レベルを示すロマンとして掲示する好機であると考えます。 これまで大切に育んできたものを次の時代へ継承してゆくこと、そして時間をかけて育まれてきた自然の貴重さは、春日の森や屋久杉の森などの先人が残してくれた例からもあきらかであり、それらは、いつの時代においても人間が関わり ながら現代に引き継がれてきたものです。
本物の自然を目指して
先人たちが残してくれた自然が現代の私たちにとってどれだけ貴重なものになっ ているかを考えれば、1000 年後はもとより500 年後、100 年後の人々にとって も山田緑地がすばらしい財産となることは想像にかたくありません。すばらしい 森を持つだけでなく、それを祖先から引き継ぎ育んできたということが、北九 州市民の誇りとなり、自信となるでしょう。 これから未来へ向け、本物の森を目指して育んでゆく山田緑地は、30世紀の 北九州市において市民の誇りの象徴となるばかりでなく、この地域の歴史・風 土の高みを示すミュージアムとして輝くことでしょう。
「30世紀の森」の意義
森の命は、遷移という過程を経て成熟してきます。30世紀を超えた遠い未来ま で生き続ける森をつくるということは、安定した自然林をつくるということです。 遷移は、その土地にあったクライマックス(極相)、つまりここ北九州では照葉 樹林となるに至って安定します。安定といっても様々な年齢の樹木で構成され、 世代の交代が次々に行われているいわば動的に安定した森、それが自然林です。 安定した森は、動物の生息地としても安定している。しかも、動的に安定して いることから森のなかに様々な環境を併せもっており、多くの生物を生息させる ことができます。 山田緑地は、森としての年齢はまだ若い。しかし、この森を守り続けることによっ て木々は成長しやがて数百年の齢を数えるようになったとき、森は自然林となる はずです。そのためには一切人の手を加えない管理を行い、環境を安定させな ければなりません。 森の命は、人の命に比べはるかに長い時間軸をもっており、裸地からクライマッ クスに至るまでに必要な歳月は600 年から800 年以上といわれています。 ここに「永続」という意味をもたせて「30世紀の森」に育てていきます
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